だれもが一度は経験する肌トラブルといえば「ニキビ」です。思春期は皮脂分泌の活発なおでこや頬、鼻などにできやすく、大人になってからはあご周辺にできやすくなります。そして、年齢に関わらずニキビのできやすいところが背中。自分では見えにくいけれど、体を洗っているときに、ポツポツ、ザラザラ…など手触りに違和感を感じることはありませんか? ケアしにくい背中ニキビはどうやって対策したらよいのでしょうか。
背中ニキビはどうしてできちゃうの?
背中は、人の体の中で顔の次に皮脂腺がたくさんあり、皮脂分泌の多い部位です。デコルテと呼ばれる胸元も同様で、触ってみると腕などと比べてしっとりしていることがわかるかと思います。一方で、背中は手が届きにくく洗いにくいために皮脂や肌についた汚れが残りやすいことが、ニキビを発生させる原因となっています。
また、角質層の厚みもニキビができやすい理由のひとつです。背中は皮膚を構成する角質層層が厚くなっています。そのため、ニキビトラブルの原因となる角質層も厚いため、ニキビができやすいと言われています。
ニキビ対策の最大のカギは予防にあり!?
そもそもなぜニキビができるのでしょうか。ニキビは毛穴の出口の角質が厚くなったり、ホルモンバランスや皮脂分泌の影響でできた余分な角質が毛穴をふさいだりして、毛穴の中の皮脂が排出されずに詰まってしまうことが原因です。毛穴につまった皮脂にアクネ菌が過剰に繁殖して、いわゆる白ニキビになります。このアクネ菌によって毛穴内で炎症がおき、アクネ菌をやっつけるために白血球が集まって赤く腫れ上がってニキビが悪化し、炎症が強いとニキビ跡となって残ってしまうのです。角質が厚くて毛穴がふさがりやすく、皮脂分泌の活発な背中は、ニキビにとっては絶好の環境だといえますね。
よくアクネ菌があるからニキビになるといわれますが、通常は肌表面のバランスを保っている肌の常在菌です。アクネ菌全てを殺菌してしまうわけにはいきません。毛穴の皮脂が詰まらなければアクネ菌が悪さをすることもありません。肌のターンオーバーを正常に保ち、余分な角質をはがれやすくするケアなども毛穴のつまり対策におすすめです。
また、活性酸素もニキビを悪化させる原因のひとつです。酸化力の強い活性酸素によって、毛穴に詰まった皮脂が酸化し、炎症が起こりやすくなります。活性酸素ができる原因は紫外線や睡眠不足、ストレス、喫煙など多岐にわたります。
肌の状態、ターンオーバー、活性酸素…とさまざまな原因が複雑に絡み合って現れるニキビ。「このニキビ、どうしてできたんだろう」と考えてみても、簡単には原因を特定できないことが多そうです。けれど、ある日突然現れたように見えるニキビでも、実は目に見えるようになるまでの時期が長くあります。この、表面に現れていない時期をケアすること、つまり「予防」がとても重要なのです。特に顔と違って、手が届きにくくケアしにくい背中ニキビは、予防が一番の対策です。
背中ニキビを予防するポイントは日常に潜む?
背中にブツブツやザラザラを感じたとき、ついナイロンタオルなのでこすってしまいがちですが、これはニキビ悪化の原因になります。できてしまったニキビをこすってもよくなることはありません。ふだんから刺激の少ない肌にやさしいタオルなどで、こすりすぎないように洗いましょう。また、石けんの洗い流しや、シャンプー、コンディショナーなどの成分が残ってしまうと、それが肌への刺激になります。先に髪を洗ってから体を洗い、しっかり流すことがおすすめです。
顔と異なり、衣服に包まれている背中は、汗や衣類の刺激で悪化しやすいのも特徴です。夏ほど汗をかかない秋冬も、厚い衣服で肌が蒸れやすく、汗をふき取りにくいため、油断はできません。吸湿性が高く肌触りのよい刺激の少ない綿素材のインナーなどを身につけるようにしましょう。
体の中からのケアも重要です。皮膚の健康維持を助けるビタミンB1、B2やビタミンCなどを積極的に摂りましょう。腸内環境を整える役割を持つ食物繊維やビフィズス菌などもニキビ予防に欠かせません。ほかにも活性酸素吸収力をもつファイトケミカルスも摂っておきたい成分です。もちろん、清潔な寝具での十分な睡眠や規則正しい生活も、肌を健康に保ち、ターンオーバーのサイクルを整える、基本中の基本です。
ニキビケアに重要なのは予防です。特にケアしにくい背中ニキビは、ニキビを発生させないことが大切。お風呂タイムのちょっとしたケアや毎日の生活でのわずかな違いで、大きく変わってきます。背中のあいたドレスや夏の水着を堂々と着こなせるきれいな背中をめざしましょう。
【参考文献】
- 参考
高橋書店「正しいスキンケア事典」吉木伸子・岡部美代治・小田真規子
小学館「スキンケアの常識非常識」木更容子