「燃え尽き症候群」とは、一生懸命頑張っていた人がある日突然、燃え尽きたかのように気力や意欲を失ってしまう状態をいいます。英語では「Burn Out(バーンアウト)」といい、慢性的な疲労やストレスによってなることが多いようです。うつ病とは少し異なる、「燃え尽き症候群」を紹介します。
燃え尽き症候群どのような症状? どんな人がなりがち?
アメリカの精神分析学者H・フロイデンバーガーが名付けた病気で、無気力症候群ともいいます 。以前は看護師・介護士・教師・人事職・接客業などの人を助けるような仕事でなりやすいといわれていましたが、最近では他の職業の人にもみられるようです。家庭だけでなく社会でも現役で活躍しつづけることが多い現代女性は特に、どんな場面でも誰かのサポート役を任されがち。求められる役割が多いばかりに、誰しも燃え尽き症候群になる可能性があるのです。
燃え尽き症候群の主な症状はがんばり屋さんが突然やる気を失って、無気力になり、ネガティブ思考になるなど、それまでとは逆の印象を与えるようになります。元々気力がないわけではなく、いつもエネルギーに満ちあふれ、やる気満々で仕事に没頭している人などに発症しやすいのが特徴です。また子育てを終えた主婦にもみられ、この場合は特に「空の巣症候群」と呼ばれています。
燃え尽き症候群がひどくなると会社を無断欠勤する、人との関わりを断つなど社会にうまく適応できなくなってしまいます。うつ病は他人よりも自分に攻撃性が向かいますが、燃え尽き症候群はその逆なのです。とはいえ燃え尽き症候群も症状が進むと、うつ病や不安障害、パニック障害をはじめ、さまざまな病気につながることもあるので注意が必要です。
もしかしたら私も?バーンアウトの症状をチェック
もし下記のような症状があるなら、あなたも燃え尽き症候群かもしれません。当てはまるものはないか、自己診断してみましょう。
【健康面】
以前より疲れやすい、朝起きると疲労感がある、風邪をひきやすい、頭痛や胃腸の不調を感じることが増えた、性欲が減少した
【仕事など】
限界を感じ精神的に参っている、今の仕事に興味を失った、やる気がしない、何もせず何時間も過ごすことが増えた、たびたび思考が停止する、自発的に動けなくなった
【人間関係】
イライラしやすい、他人に対して悲観的・批判的に捉える、周囲に敵意を持ったり攻撃的になったりする、短気で怒りっぽくなった、家族・友人・同僚と距離を置き一人で過ごすことが増えた、人間関係や過去のことに思い悩む時間が長くなった、他人に無神経な態度で接してしまう
当てはまるものが多い場合や、それぞれの症状が長く続いているようなら、燃え尽き症候群の可能性があります。
燃え尽き症候群の予防法は?
燃え尽き症候群は、放っておけばいつか治るというものではありません。燃え尽き症候群によく見られる無気力な状態が続くような場合は、専門家のアドバイスに従いましょう。
また日頃から、燃え尽きないように気をつけることも大切です。過労やストレスが大きな要因になるため、オーバーワーク(働きすぎ)に注意し、完璧主義をやめ、適度な運動などでストレスを解消しましょう。頼まれごとなどはすべて受け入れず、時には断ることも必要です。
また仕事以外にも予定を詰め込みすぎる人がいますが、無理に頑張ろうとせずに、疲れを感じたらしっかり休息をとってください。十分な睡眠をとることも効果的です。やる気がなくなってきていると感じたら、疲れやストレスがたまっていないか、生活習慣や仕事のパターンを見直してみましょう。頑張りすぎないように、時には立ち止まることも大切ですよ。
燃え尽き症候群にならないためには、普段からバランスの良い食事や十分な睡眠をとって、規則正しい生活を心がけることが大切です。自分なりのリラックス法やリフレッシュ法で、こまめにストレスを発散させるのも良い手でしょう。
心身に疲労を感じ始めたときにきちんと休めるようにすれば、気力も体力も徐々に回復してくるはずです。自分の心の声を大切にしながら、頑張りすぎず、毎日を楽しく過ごしてくださいね。
【参考文献】
- 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネットHP