DHAやEPAとは、健康的な毎日を送るために欠かせない栄養素で、どちらも人の体内ではほとんど生成できません。そのため「DHAやEPAが不足するとどうなるの?」「不足しないための注意点は?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、DHAとEPAの働きと有用性や不足した場合のからだへの影響、注意点を詳しく解説します。さらにDHAやEPAの効果的な摂取方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
◆一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会 公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/
DHA 、EPAの働きと期待される有用性
DHA、EPAは、どちらも人の体内ではほとんど生成できない必須脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)の一種です。それぞれの働きと期待される有用性について解説します。
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DHAの働きと期待される有用性
DHAは、正式名称を「ドコサヘキサエン酸」といいます 。クロマグロの脂身、スジコ、ブリ、さばなどの魚油に多く含まれる高度不飽和脂肪酸 です。
DHAは積極的に摂取したい栄養素の1つである一方で、メカニズムが解明されていないものもありさらなる研究が期待されます。
関連記事: DHAが豊富に含まれる魚は?DHAに期待される有用性や含有量の多い食材&レシピも紹介EPAの働きと期待される有用性
EPAは、正式名称を「エイコサペンタエン酸」といいます。マイワシ、クロマグロの脂身、さば、ブリなどの魚油に多く含まれる高度不飽和脂肪酸 です。
EPAは健康的な生活を送るためにも、日常生活に取り入れたい栄養素だといえるでしょう。
関連記事: ブレインフードとは?脳に良い理由やおすすめの食べ物・レシピを紹介DHA、EPAが不足するとどうなる
DHA、EPAは体内で合成できない必須脂肪酸であるため、食事で摂取しなければ不足してしまいます。DHAやEPAは不足すると、目の網 膜や脳、神経などの細胞機能に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
DHAは、特に神経シナプスや網膜の光受容体に多く存在し ます。妊娠中は、胎児の器官生成のために、より積極的に摂取することが必要です。
近年、食生活の欧米化に伴い、DHA、EPAなどのオメガ3系脂肪酸の摂取が減少しています。また 、オメガ3系脂肪酸の不足は、アルコール依存、薬物依存、 認知症などの精神疾患や、てんかんなどの神経変性疾患を引き起こす可能性を考える研究も進められています。
DHAやEPAの必要量を算定するために有用な研究は十分ではありません。そのため、厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、DHAやEPAを含む「オメガ3系脂肪酸の摂取目安量」を、以下のように設定しています。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18~29歳 | 2.0g | 1.6g |
30~49歳 | 2.0g | 1.6g |
50~64歳 | 2.2g | 1.9g |
65~74歳 | 2.2g | 2.0g |
75歳以上 | 2.1g | 1.8g |
出典:日本人の食事摂取基準(2020 年版)|厚生労働省
DHA、EPAの不足による影響を防止するためにも、上記の目安量を参考に、適切な量のDHAやEPAを摂取することが大切です。
関連記事: 必須脂肪酸の有用性や重要性とは?多く含まれる食品と摂り方DHA、EPAは摂りすぎにも注意
健康を意識しすぎるあまり、DHAやEPAの摂りすぎには注意が必要です。 膜や脳、神経などの細胞機能に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
魚から摂取する場合、種類によっては水銀などの金属が多く含まれる可能性もあります 。そのため、妊娠・授乳中の方は、摂りすぎに注意しましょう。
DHAとEPAをサプリメントで摂取する場合は、パッケージに記載されている1日の摂取目安量を守ることが大切です。摂取する際の注意事項も必ず目を通しましょう。
DHA、EPAの効果的な摂り方
DHA、EPAを効果的に摂取するためには、魚油を無駄にしない料理を取り入れましょう。DHAやEPAは焼き魚でも摂取できますが、調理の過程で魚脂が出てしまい、摂取量が減少する可能性が高くなります。
主な魚介類100g中に含まれるDHAとEPAの含有量は、以下の通りです。
【魚介類に含まれるDHA及びEPA】
魚の種類 | DHA(mg)※ | EPA (mg)※ |
---|---|---|
アンコウ・きも(生) | 5,100 | 3,000 |
インドマグロ・脂身(生) | 4,000 | 1,600 |
クロマグロ・脂身(生) | 3,200 | 1,400 |
ヤツメウナギ | 2,800 | 2,200 |
さば類・開き干し(生) | 2,700 | 1,500 |
しろさけ(すじこ) | 2,400 | 2,100 |
ノルウェーさば(水煮) | 2,300 | 1,600 |
しめさば(加工品) | 2,300 | 1,300 |
サンマ・皮つき(生) | 2,200 | 1,500 |
ノルウェーさば(焼き) | 2,100 | 1,500 |
サンマ・皮なし(生) | 2,100 | 1,400 |
サンマ・皮付き(焼き) | 2,000 | 1,300 |
しろさけ イクラ | 2,000 | 1,600 |
塩さば・加工品 | 2,000 | 1,300 |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)脂肪酸成分表編 魚介類|文部科学省
※可食部100g当たりの含有量(mg)
調理の際、魚から流れ出る脂ごと摂取できる「煮付け」や「お吸い物」がおすすめです。また、さば缶やイワシ缶など、青魚の缶詰は液汁にも魚油がふくまれるので、丸ごと活用すればより効率的に摂取できるでしょう。
DHA、EPAの1日の摂取量を正確に把握するために、サプリメントを活用するのも1つの手段です。
関連記事: DHAとEPAは寝る前に摂る?1日の摂取目安量や効率的な飲み方を解説DHAやEPAを意識的に摂取しよう
DHAとEPAは健康的な生活を送るために効果的な成分です。
しかし、不足すると目の網膜や脳、神経系の機能低下、膚炎などにつながる可能性が研究されています。また、過剰摂取によるリスクにも注意が必要です。
DHAとEPAは人の体内で生成できない栄養素のため、食事で補う必要があります。とはいえ、調理方法によってはDHAとEPAの摂取量が減ってしまうため、1日の摂取目安量を把握しやすいサプリメントなどを活用し、効果的に摂取しましょう。
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