健康に良さそうなイメージのα(アルファ)リノレン酸ですが、身体へのはたらきやどのような食品に含まれるのか、知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、αリノレン酸の特徴やはたらきについて解説します。αリノレン酸が含まれる食品や手軽に摂れる簡単なレシピも紹介しますので、ご自身やご家族の健康を気にする方は参考にしてみてください。
一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
◆一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会 公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/
αリノレン酸とは?
αリノレン酸とは脂肪を構成する要素である不飽和脂肪酸の1つであり、植物や魚の脂に多く含まれます。不飽和脂肪酸のなかでも、体内では作れない成分であるαリノレン酸は「必須脂肪酸」と呼ばれ、食べ物からの摂取が必要です。
必須脂肪酸はオメガ3(n−3系)とオメガ6(n−6系)の2種類に分類され、代表的な成分は以下のとおりです。
必須脂肪酸 | オメガ3(n−3)系脂肪酸 | オメガ6(n−6)系脂肪酸 |
---|---|---|
種類 | ・ドコサヘキサエン酸(DHA) ・エイコサペンタエン酸(EPA) ・αリノレン酸 |
・リノール酸 ・アラキドン酸 ・γ(ガンマ)リノレン酸 |
必須脂肪酸・オメガ3系脂肪酸に関してくわしく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
関連記事: 必須脂肪酸の有用性や重要性とは?多く含まれる食品と摂り方関連記事: 美容や健康で注目されているオメガ3とは?有用性や摂取量を紹介
オメガ3系脂肪酸のうち、DHAやEPAはサバやイワシなどの魚脂に多く含まれます。DHA・EPAに関してはこちらの記事もあわせてご覧ください。
関連記事: DHAとEPAとは?それぞれの働きや上手な摂取方法を解説また、アマニ油やチアシードオイルに多く含まれるαリノレン酸は「身体に良い油」といわれますが、以下に注意しなければなりません。
● 酸化しやすい
● 熱に弱い
αリノレン酸は直射日光に当たったり空気に触れたりすると酸化しやすいため、保管場所に注意が必要です。長期間の保管には適しておらず、買いだめもおすすめできません。他にも、熱に弱い特徴もあり、加熱調理すると酸化し品質が悪くなるため、炒め料理よりもドレッシングなどで加熱せずに使うのがおすすめです。
αリノレン酸が含まれる食品
αリノレン酸が多く含まれる食品は以下のとおりです。
食品名 | 成分量(mg/100g) |
---|---|
エゴマ油 | 58,000 |
アマニ油 | 57,000 |
くるみ | 9,000 |
なたね油 | 7,500 |
マヨネーズ | 5,100 |
油あげ | 2,500 |
αリノレン酸はチアシードオイルやアマニ油などの植物油に多く含まれます。ほうれん草にもαリノレン酸が含まれることがわかっていますが、1日の摂取目安量である2gを摂るには1.4kgもの量を食べる必要があるため、現実的ではありません。
食品でαリノレン酸を摂取したい方は、油脂類やくるみを取り入れるのがおすすめです。αリノレン酸を摂取できるレシピを紹介しますので、参考にしてください。
αリノレン酸の摂取量と簡単レシピ3選
αリノレン酸の摂取量は1日2gが目安です。油脂類に多く含まれるαリノレン酸は過剰摂取するとカロリー増加につながるため、農林水産省で目安量が設定されています。
αリノレン酸 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1日の摂取目安量(g) | 18~49歳 2.0 50~74歳 2.2 75歳以上 2.1 |
18~49歳 1.6 50~64歳 1.9 65~74歳 2.0 75歳以上 1.8 ※妊婦 1.6 授乳婦 1.8 |
とはいえ、食品でαリノレン酸を摂取する分にはさほど気にする必要はありません。またサプリメントを摂取する際は、食事とあわせて目安量を守ることが大切です。バランスの良い食事に関してはこちらの記事も参考にしてください。
関連記事: バランスの良い食事例と組み立て方│1週間分の献立例を紹介関連記事: 一人暮らしでバランスの良い食事をとるためのポイント&簡単レシピ集
αリノレン酸を含む食品を使ったレシピを、3つ紹介します。
ホワイトチアシードオイルのオレンジキャロットラペ
ホワイトチアシードとくるみには、αリノレン酸が含まれています。オレンジキャロットラぺは調理の工程が少ないため手軽に作れるレシピです。
【材料(2人分)】
● にんじん 大1本
● 塩 少々
● こしょう 少々
(A)
● オレンジジュース 大さじ2
● 黒酢 小さじ1
● 塩 小さじ1/4
● ホワイトチアシードオイル 大さじ1
● くるみ 2〜3粒
【作り方】
1.にんじんを千切りにし、くるみは荒く砕く
2.ボウルに(A)を合わせ、千切りにしたにんじんを加えて2時間ほど漬ける
3.塩こしょうで味を整え器に盛り付け、砕いたくるみを散らす
かぼちゃとナッツのサラダ
かぼちゃとナッツのサラダはαリノレン酸を含むくるみと、ビタミン類を含むかぼちゃを使用しています。くるみがアクセントとなり、食感も彩りも楽しめるサラダです。
【材料(4人分)】
● かぼちゃ 1/4個
● エキストラバージンオリーブオイル 大さじ2
● 塩 少々
● 白こしょう(粗びき) 少々
● 九条ねぎ 2本
● きゅうり 1本
● オレンジ 2個
● くるみ 80g
(いりごまドレッシング)
● 白ごま 大さじ8
● 米酢 大さじ4
● エキストラバージンオリーブオイル 大さじ8
● 水 1/4カップ
● みりん(または料理酒) 大さじ4
● しょうが(すりおろす) 1/2かけ
● レモン果汁 1/2個分(20g)
● セサミオイル 大さじ2
【作り方】
1.かぼちゃを1センチの厚みにざく切りにし、オリーブオイル・塩・粗びき白こしょうをふりかけ、すり込む
2.フライパンを中火で熱し、かぼちゃを入れフタをして5分加熱
3.九条ねぎを小口切り、きゅうりを輪切りにし、ボウルに入れる。オレンジは皮をむき、房ごとに分け果汁も絞る
4.ドレシングの材料をボウルの中に入れ、混ぜ合わせる
5.器に焼いたかぼちゃ・ねぎ・きゅうり・オレンジを盛りつけ、ドレッシング大さじ4をかけ、煎って荒く刻んだ胡桃をふりかける
コブサラダ麺
コブサラダ麺にはαリノレン酸が含まれるアボカドとマヨネーズを使用しており、ドレッシングや味卵は手軽に作れます。
【材料(1人前)】
● 12ヶ月の食卓 五穀麺 1袋
(A)
● アボカド 1/2個
● レモン汁 小さじ1
(B)
● ハム 3枚
● 味卵(またはゆで卵) 1個
● ミニトマト 3個
● レタス 1枚
(C)
● エサンテ4 to 1 マヨネーズタイプ 大さじ2
● ぽん酢 大さじ1
● セサミオイル 小さじ1
(味卵:2〜3人分)
● ゆで卵(半熟) 3個
● 添付のスープ 1袋
【作り方】
1.アボカドは種と皮をとって2センチ角に切り、レモン汁をまぶす。ハムは2センチ角、味卵は8等分、ミニトマトはヘタをとって半分、レタスは芯をとって食べやすい大きさにちぎる
2.深めのフライパンに水を入れ、フタをして中火で加熱。沸騰したら五穀麺を加え、再びフタをして4分加熱、麺をほぐして混ぜる。流水にさらし、コランダーにあげて水を切る
3.器にレタスを敷いて麺を盛り、(A)(B)をのせ、混ぜた(C)をかける
(味卵)
厚手のポリ袋にゆで卵、添付のスープを入れて、空気を抜きながら口を縛り、冷蔵庫で一晩漬ける
身体に嬉しいはたらきをもつαリノレン酸
αリノレン酸の特徴やはたらきは以下のとおりです。
● 必須脂肪酸の1つであるαリノレン酸は植物や魚の油に多く含まれ、体内では生成されない
● αリノレン酸は酸化しやすく熱に弱い
● αリノレン酸はチアシードオイルやアマニ油などの油脂類に多く含まれる
● 1日に必要なαリノレン酸の摂取量は2g
αリノレン酸は健康にメリットがある成分です。食事を中心に適宜サプリメントで補助的に摂取しながら、身体を健康的に維持しましょう。