体のだるさや疲れ、風邪、食欲不振など……体の不調を防ぐためには、日々の体調管理や免疫力アップを心がけることが大切です。
実は、腸は最大の免疫器官。人間の体の免疫細胞の約6割が腸内に存在しています。食べ物を消化するだけじゃない、腸の意外な役割を知れば、体のメンテナンスもより楽しくなりますよ!
一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
◆一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会 公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/
腸は最大の免疫器官!その理由とは
腸は人間の体の中で最大の免疫器官と言われています。腸は栄養素を吸収する一方で、外部から入ってきた細菌やウイルスは吸収せず、便と一緒に排出しなければなりません。もしもこれらの有害物質をそのまま吸収してしまうと、体によくない影響が及ぶ恐れがあります。つまり、腸に多くの免疫細胞が集まっているのは、外部からの有害物質をブロックし、体の健康を守るためなのです。腸内の免疫細胞がうまく働くためには、腸内環境を整えることが大切です。
では、腸内環境をよくするにはどうすればよいのでしょうか。
今日からできる!おすすめの菌活方法
そもそも菌活とは?
腸内環境を整えるために、食事や生活習慣を意識することを菌活と呼んでいます。免疫を高めて健康的な毎日を過ごすためにも、菌活はぜひおすすめしたい習慣なのです。
また、菌活に取り組むときに一緒に摂取したい栄養素が食物繊維です。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、どちらもバランスよく摂取することが大切です。以下の食品に含まれていますので、積極的に取り入れて毎日の献立を充実させましょう。
●水溶性食物繊維を多く含む食品
大麦、オートミール、西洋かぼちゃ、大根、納豆、トマト、キウイ、バナナ、海藻、など
●不溶性食物繊維を多く含む食品
さつまいも、ごぼう、大豆、おから、しいたけ、えのき、など
発酵食品を摂取する
腸内の環境をよくするためには、乳酸菌などを含む発酵食品を積極的に摂取することが大切です。以下に代表的な発酵食品をまとめているので、ぜひ日々の食事に取り入れてみてください。
●代表的な発酵食品
ヨーグルト、チーズ、納豆、甘酒、漬物、醤油、味噌、酢、塩麹、かつおぶし、など
オリゴ糖を摂取する
発酵食品だけでなく、オリゴ糖も腸内にとって有用な働きをします。オリゴ糖は大豆、たまねぎ、にんにく、バナナなどに含まれています。
また、オリゴ糖シロップを常備すると手軽に摂ることができます。ヨーグルトにかけたり、パンにつけて食べたりと、ふだんの食事に無理なくプラスできます。糖分が気になる方は、オリゴ糖のサプリメントを活用しましょう。
起床時にコップ1杯の水を飲む
朝、起きた時にコップ1杯の水を飲むと腸の動きが刺激され、便秘対策に役立ちます。冷たい水は刺激が強すぎる可能性があるため、お腹が弱い方には常温の水や白湯がおすすめです。
「朝、バタバタしていると水を飲むのを忘れてしまう……」という方は、枕元に水を用意しておくのもよいでしょう。
自律神経のバランスを整える
自律神経のバランスが乱れると、便が滞ったり下したりなどの症状が引き起こされることがあります。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があります。簡単に言うと、交感神経は日中活発に動くための動的神経であり、副交感神経は夜や睡眠時にリラックスするための静的神経です。
この2種類のバランスを整えるには、睡眠不足やストレスを解消することが大切です。たまには1日中ボーっと過ごしたり、趣味を思い切り楽しんだりと、自分の心と体をいたわる時間をつくってあげましょう。
運動習慣を身につける
適度な運動は、腸へのほどよい刺激となります。ウォーキングや散歩など、無理のない範囲で運動習慣を身につけましょう。運動の時間がなかなか取れないという方には、お腹のセルフマッサージもおすすめです。
※妊娠中や産後間もない方、胆石や腎結石、腹部の炎症、ヘルニアなどの症状または疑いがある方は、必ず医師と相談の上行ってください。
体を温める
体をじっくり温めると副交感神経の働きが活性化し、腸の働きが良好になると言われています。また、体温が上昇すると、体の免疫機能が働きやすくなるため、体の不調を防ぐためにも「温活」は欠かせません。
適切な暖房器具の使用はもちろん、ホッカイロや湯たんぽなどのアイテムを活用して、体を冷やさないよう注意しましょう。温かい飲み物や食べ物を摂取するなど、内側から体を温めるのもおすすめです。
まとめ
【参考文献】
- 祥伝社『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』著者:光岡知足
- 海竜社『腸内革命 腸は第二の脳である』著者:藤田紘一郎
- e-ヘルスネット 腸内細菌と健康
- 健康長寿ネット 自律訓練法の健康効果とは
- こころ診療所吉祥寺駅前 自律神経失調症
- 第 12 回高齢者福祉実践・研究大会 血行促進により生じる身体機能向上の関係性について
- 健康長寿ネット 肺炎の症状