「フランス人が医者いらずなのは、赤ワインを飲んでいるから?」、「チョコレートで健康に!」……などなど、テレビや雑誌でもたびたび話題になっている栄養素「ポリフェノール」。ふだんなにげなく捨てている野菜や果物の「皮」も、ポリフェノールの宝庫です。
今回はポリフェノールを捨てないための簡単なコツをご紹介します。
ポリフェノールってどんなもの?
ポリフェノールとは、植物が紫外線などのダメージや外敵から身を守って生き抜くために自ら作る栄養素で、色素や苦味の成分として実や種、皮の部分などに蓄えられています。ポリフェノールのような植物の有用成分を総称して、「ファイトケミカルス(ファイトケミカル)」と呼び、天然由来の栄養素として注目を集めています。
ポリフェノールはどんな種類があるの?
赤ワインやブルーベリー、ムラサキイモに含まれる「アントシアニン」をはじめ、緑茶に豊富な「カテキン」、玉ねぎやブロッコリーなどの「ケルセチン」、さらに大豆には「イソフラボン」が含まれるなど。植物の中からたくさんの種類が発見され、その働きについて研究や開発が盛んにおこわれています。
ポリフェノールを効率よく摂るコツ
カテキンやフラボノイドといったポリフェノールは水溶性のファイトケミカルスは体内にためておくことがむずかしいため、日々の生活のなかでコンスタントに摂っていくのが理想的。そのため、サプリメントを上手に活用するなどもいいでしょう。
でも、ふだんの食事で効率よく摂っていくポイントがあれば、知りたいもの。ちょっとしたコツをみてみましょう。
お買い物するなら、「旬」のものに注目
今は季節にかかわらず、たくさんの種類の野菜が1年中売っている時代。ですが、ポリフェノールなどのファイトケミカルスの上手な摂取を狙うなら旬のものを選ぶこと。旬の野菜は高い栄養価が期待できます。ほうれん草の場合、旬である12月に育ったケースと、9月に育ったケースではビタミンCの量が約4倍違います。ジャストシーズンの野菜や果物ならお値打ちに買えるので、お得度の点で一石二鳥です!。
野菜や果物は「皮」まで食べよう!
実や種を守るために作られる成分という性質上、ポリフェノールやファイトケミカルスは野菜や果物の「皮」や「種」の部分にぎゅっと集まっていることが多いんです。たとえば ブドウの場合、マスカットだと皮には果実の45倍、巨峰の場合は皮に果実の200倍ものポリフェノールが含まれています。
皮を食べられる品種のブドウやリンゴ、サツマイモやトマトなどは、皮をよく洗って積極的に食べていくのがおすすめです。柑橘類の薄皮やスジの部分にもポリフェノールの1種「フラボノイド」が豊富なため、袋はむかずによくかんで食べるとよいでしょう。
ポリフェノールなどのファイトケミカルスを逃さない調理のコツ
野菜を調理するさい、ちょっとしたポイントを押さえることで、ポリフェノールなどのファイトケミカルスを逃さずに食べることができます。
ナスの皮の色素「ナスニン」は、油で炒めることで流出を抑えることができ、見た目も色鮮やかな仕上がりに。ピーマンの苦味成分「クエルシトリン」は、ピーマンの細胞として縦に並んでいます。そのため、ピーマンをカットするときに、縦切りにすると流出しにくくなります。玉ねぎに含まれる「ケルセチン」は水に溶けやすいため、丸ごとスープ煮にしたり炊き込みご飯の具材にしたりして、栄養を丸ごといただきましょう。
野菜や果物のポリフェノールを食生活に活かすポイントをご紹介しました。キッチンで「皮」を捨てそうになったとき、これからはちょっと立ち止まってみてはいかがでしょうか?
【参考文献】
梅田達也『植物のくれた宝物』(研成社)
日本セルフケア支援薬剤師センター『美容薬学検定公式ガイド&テキスト』(一ツ橋書店)