「健康のために食事をバランス良く取りましょう」という話はよく聞きます。しかし、何をどれくらい食べればよいかの比率はよくわからない……。さらに食事バランスが崩れると体にどんな影響がでるのかも知りたい……。そこで今回は、食事バランスの取り方と健康について探ってみました。
一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
◆一般社団法人 日本ダイエットスペシャリスト協会 公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/
食事バランスが悪いとどんなデメリットがある?
食事バランスが悪いと体のなかのさまざまな部分に影響を与えます。食事バランスが乱れた生活を送ると病気を引き起こすだけでなく、ストレスや頭の働きにも影響を及ぼす可能性があります。食事バランスが与える影響を理解して、毎日の食生活を見直してみましょう。
病気を引き起こす可能性がある
理想的な食事に欠かせないたんぱく質ですが、肉類や加工肉などを過剰に摂取する食生活は、生活習慣に関わる疾患リスクがまると言われています。塩分を摂りすぎる食生活も発症リスクを高める可能性があるため、気をつけましょう。
また、嗜好品を好んで摂取する方も注意が必要です。アルコール飲料を飲み過ぎると重篤な疾患に導かれる能性が高くなると言われています。
加えて、糖質や脂質といった高カロリーの栄養素を過剰摂取すると中性脂肪が増えてしまい、肥満リスクへとつながります。肥満はさまざまな病気を引き起こすことにつながりかねないため、バランスの取れた食事は健康を保つために重要な役割を果たしていると言えます。
健康な食生活を送る目安「食事バランスガイド」
昨日1日の食事を振り返って、どんなものを食べたか思い出せますか?
少しでも長く寝ていたいからと朝食を抜いたり、昼食を手軽に済ませようとカンタンなもので済ませたりすることってありますよね。もしくは、太りそうだからという理由でご飯の量を減らしたり、肉と卵が好きだからと偏ったり……。健康的とは言い難いかもしれません。
一方で、どのような食事バランスで何をどれくらいの比率で食べればよいか、改めて考えてもよくわからないという方もいるでしょう。実は、2005年に厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」というガイドラインに目安が示されています。食事バランスガイドに沿って食生活を見直すことで、食べ過ぎているものや不足しているものがわかるため、改善点も見えてきます。
食事バランスの良さが死亡リスクの高い病気の低下につながる?
食事バランスが悪いとどうなってしまうのでしょうか?
これについては、国立がん研究センターが健康についての研究のなかでアンケート調査を実施しています。食事バランスガイドの遵守得点を算出して、対象者をバランスの良し悪しで4つのグループに分けて、平均15年の死亡リスクを追跡したようです。
結果として、食事バランスガイドを守っていたグループほど総死亡リスクが低下。食事バランスガイドの遵守得点が10点アップするごとに、総死亡リスクが7%減少していたことがわかったのです。そのなかでも、食事バランスが良かった人ほど循環器疾患死亡、とりわけ脳血管疾患死亡のリスクが低かったようです。食事バランスを整えることによって病気のリスクを下げて、健康寿命を延ばす効果を期待できるのです!
良い食事バランスは健康にもつながる?
炭水化物や野菜、乳製品や発酵食品などをしっかり摂り、理想的なバランスの食生活を続けることは健康にもつながります。菌活にとって大切なことはバランスのよい食事を取ることであり、それは栄養をバランスよくしっかり摂取することです。
ちなみに、腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分類されます。食事のバランスが乱れると悪玉菌が増えて、お腹の調子が悪くなり便秘の原因になるケースもあるという意味でも、食事バランスに気を配ることをおすすめします。
「食事バランスガイド」で食品の比率をチェック!
食事バランスガイドの基本をおさえてみましょう。食事バランスガイドではバランス良く食べるために、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物の5つのグループを取ることを推奨しています。1日のうちに取りたい5つグループの比率は次のとおりです。
- 主食(ご飯、パン、麺)……5~7:ご飯普通もりで4杯程度
- 主菜(肉、魚、卵、大豆料理)……3~5:肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度
- 副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)……5~6:野菜料理5皿程度
- 牛乳・乳製品……2:牛乳だったら1本(約200ml)程度
- 果物……2:みかんだったら2個程度
菓子や菓子パン、甘い飲み物、お酒などの嗜好品はガイドのなかには含まれません。これらについては、栄養としてとらえるより適度に楽しむのが正解です。つまり、控えめにするくらいがよいでしょう。水やお茶などの水分は私たちの体に欠かすことができないのでしっかり飲んでください。
バランス良く食べるための健康的な食事の摂り方とは?
1日の食事でバランス良く栄養を摂るには、どのような食事内容が理想的なのでしょうか?食事のポイントや時間帯によって食事の重要性がどのように変わるのかを理解して、食事バランスを見直してみてください。
食事バランスと腸活を意識して食材を選ぶと、心身ともに健康的な生活を目指せるでしょう。
食事バランスアップを目指すコツ
朝食は、朝の脳のエネルギー欠乏を補う大切な食事。1日のスタートに集中力や記憶力を上げ、元気な体を目指すために重要な役割を果たしています。よくダイエットのために朝食を抜く人がいますが、実は基礎代謝が低下するため逆効果。前日の夕食から翌日の昼食まで間が空いて空腹が続くと、体が省エネ化しエネルギーを貯め込みやすくなり、結果的に体脂肪がつきやすくなります。
朝食を食べる習慣のない人は、まずはおにぎり1個から始めて、手軽な野菜やスープ、ヨーグルト、フルーツなどを足して、バランス良くいろいろな食品を摂れるように工夫していきましょう。食欲がないときはジュースやヨーグルトなど、口に入れやすいものを摂取するようにしてみてください。
昼食は、デスクランチ派なら買ってきたお弁当、外ランチ派なら丼物や麺類でカンタンに済ませている人が多いようです。昼食は、同僚や友人との飲み会や家族と一緒に取る夕食と違い、ある程度は自分で決められます。お弁当の人は、野菜料理が不足しがちなのでサラダや和え物などの副菜を足してバランスをアップ。外ランチの人は、丼や麺を選ぶなら小鉢をプラスするなど、バランスの良い定食をチョイスできるといいですね。
乳酸菌や食物繊維は菌活にもつながる!
食事バランスを意識しながら菌活を進めていくなら、乳酸菌や食物繊維を摂取するのがおすすめです。とくに食物繊維は善玉菌のエサになると言われています。
乳酸菌とあわせて食物繊維を摂取することで、善玉菌の働きをサポートしてくれるでしょう。食事で乳酸菌や食物繊維を摂るのが難しい場合は、手軽に摂れるサプリメントもおすすめです。自分に合った方法で、菌活に取り組んでみてください。