皆さんは「瞑想」と聞いて、何を浮かべますか?
正座をして目を閉じるポースが印象的で、足が痛くなったりして結果的に雑念だらけになってしまいそう。
しかし最新の「瞑想」は、すこし違います。ストレスを軽減するだけではなく、倦怠感が薄れ、生産性向上にも効果があると報告されています。有名企業では米国・Google社が社員研修として瞑想を導入したり、有名ハリウッド女優が取り入れたりと、多くの人々を魅了しています。
ここまで流行る、今どきの「瞑想」の秘密を紐解いていきます。
瞑想の最新トレンド、「マインドフルネス瞑想」とは?
マインドフルネスとは、簡単にいうと「現在」にフォーカスする思考のクセをつける事。
人間の脳は自然と「過去」や「未来」のことばかり考えてしまうため、余計な雑念に囚われて、精神が浮き沈みを繰り返してしまいがちです。
よく「あの時、どうしてこんなことをしてしまったのだろう」「あんな風になったらどうしよう」と思考をしてしまいますが、これがまさに過去や未来のことばかりを考えてしまうという思考のしがらみなのです。でも過去は起こってしまった変えられない事実であり、「未来」はまだ起こっていない、いわば「妄想」のようなもの。
マインドフルネスは、これらのしがらみから解放されるように、「現在」にフォーカスして、脳の疲れを取り、心身ともに健やかになるといった脳科学に基づく一種の瞑想法なのです。
「マインドフルネス瞑想」がここまで人気の理由
マインドフルネス瞑想が人気の理由は何といっても、その手軽さ。 自分の好きなタイミングで行うことができ、医療機器や他者の手もかからないことから費用も発生しないので、継続もしやすいところが人気です。
米国で精神科クリニック開設する久賀谷亮医師(TransHopeMedical/くがやこころのクリニック)は、さまよわない心、疲れづらい脳は、誰にでも作ることができると、『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』 (ダイヤモンド社)にて述べています。
久賀谷医師が同書にて推奨する瞑想のやり方として4つのステップがあります。
- 背筋を軽く伸ばして椅子に座って目を閉じる
- 今、自分が触れている椅子の感触や手や太ももなど、身体の感覚に意識を向ける
- 鼻を通る空気やお腹の上下運動など、呼吸に関わる感覚を意識する
- 雑念が浮かんできても自分を責めず、浮かんだ事実に気づき、再び注意を呼吸に戻す
マイドフルネス瞑想は短い時間でも、とにかく毎日行うことが大切。
脳は「習慣」が大好きなので、慣れてきたら「毎朝ハミガキをし終わった後、椅子に座って瞑想する」など生活ルーティンの一部にして、気楽に続けてみましょう。
脳科学から読み解く!瞑想がもたらす効果とは?
人間の脳は、1日の全消費エネルギーの20%を消費するといわれています。 米ワシントン大学セントルイス校の神経学者マーカス・レイクル教授によると脳回路(DMN: Default Mode Network)が活発に動くと、ただぼーっとしてるだけでも、まるで車のアイドリングのようにどんどんエネルギーを消費していき、「脳疲労」に繋がっていくとされています。DMNは「心がさまよっている時に動く回路」なので、とりとめのない雑念が「脳疲労」を生み出します。
マインドフルネスは、このように絶えず動く脳を「意識して休ませる」ことに効果を発揮するとされています。
実際に、マインドフルネス瞑想を続けた人の中には、鬱々とした気持ちや倦怠感が薄れ、ストレスホルモンであるコルチゾールの数値が低く出たという成果も出ています。
過去や未来のしがらみから解放されることによって、脳ストレスを軽減するマインドフルネス瞑想。まずは、1分からでも生活にとりいれてみませんか?
心が疲れている、うつ病などの症状がある方は心療内科の医師と相談の上、取り入れてみましょう。
【参考文献】
久賀谷亮 『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』 ダイヤモンド社