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乳酸菌

乳酸菌とビフィズス菌の有用性の違いは?含まれる食品や効果的な摂り方を解説!

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2023年2月28日 / 更新:2023年2月28日

乳酸菌とビフィズス菌には、身体環境をサポートする作用やスッキリをサポートする有用性があります。乳酸菌とビフィズス菌という言葉を聞いたことがあっても、2つの菌の有用性にどのような違いがあるのか、どんな食品に含まれているのかをきちんと理解できていない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、乳酸菌とビフィズス菌の有用性の違いについて解説するとともに、健康に対する有用性を高める摂取方法までまとめて紹介します。

宮崎郁子

東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学病院 消化器内科、東京医科大学病院 内視鏡センター助教、牧野記念病院 内科を経て、2015年より東京国際クリニック/医科 副院長を務める。

乳酸菌とビフィズス菌の違い

乳酸菌とは、糖を消費して乳酸という物質を作るさまざまな菌の総称です。「乳酸菌」という特定の菌が存在しているわけではありません。乳酸菌によって乳酸が作られると腸内が酸性に保たれ、体のコンディションを維持してくれます。

ビフィズス菌は乳酸菌の一種です。乳酸菌と同じ善玉菌で、有用性が高いですが、2つの菌は腸内での働き方や生息場所など、異なる点が多々あります。具体的な違いを確認しておきましょう。

学術的な違い

乳酸菌とビフィズス菌は、どちらも健康をサポートしてくれる善玉菌ですが、学術的にはまったく異なる種類の菌として扱われています。

乳酸菌の形態は桿菌(桿状)もしくは球菌(球状)ですが、ビフィズス菌の多くは分枝状やV字状、Y字状や湾曲状などの不規則な形態・配列です。

ビフィズス菌の学名である「Bifidobacterium」は、「分枝した小桿菌」を意味します。1899年、フランスパスツール研究所のティシェが枝分かれしている細菌を発見した際、ラテン語で「枝分かれ」を意味する「ビフィッド」からビフィズス菌と名づけました。乳酸菌とビフィズス菌は形態が大きく異なるため、顕微鏡でも判別できます。

活動場所/生息場所

乳酸菌は小腸、ビフィズス菌は大腸で活動します。活動場所や生息場所が異なるのは、菌の性質がそれぞれ異なるからです。

乳酸菌は酸素があってもなくても生きていけますが、ビフィズス菌は酸素があると生きていけません。乳酸菌は酸素がある小腸と酸素がない大腸の両方に生息していますが、ビフィズス菌が生息できる場所は酸素がほとんど届かない大腸だけです。

大腸にいる善玉菌の約99.9%がビフィズス菌で、乳酸菌にいたってはわずか約0.1%となっています。ビフィズス菌は、大腸になくてはならない存在だといえるでしょう。

乳酸菌が自然界に広く生息しているのに対し、ビフィズス菌の生息場所は主に人や動物の腸管です。ヨーグルトやチーズ、みそや漬けものなど、あらゆる発酵食品に乳酸菌が使われているのはこのためです。

代謝産物

代謝産物とは、生体内の代謝によって生じる物質のことです。

乳酸菌の代謝産物は乳酸です。乳酸は酸や酢酸などの有機酸で、有機酸は腸内に存在します。一般的な発酵食品には、この乳酸菌が利用されているのです。

一方、ビフィズス菌は乳酸のほかに酢酸という有機酸も作り出します。身体環境をサポートし、さまざまな健康に対する有用性をもたらしてくれます。

ヨーグルトやチーズなどの発酵食品に独特の風味があるのは、含まれている乳酸菌やビフィズス菌の種類によって代謝産物の質や量に違いがあるからなのです。

体内生息数

成人の腸内細菌の約10%は、ビフィズス菌が占めています。ビフィズス菌の数は乳酸菌の100倍以上に及ぶため、乳酸菌よりも人の体への影響が大きいと考えられています。

大腸には数十兆~100兆個もの腸内細菌が存在しますが、このうち乳酸菌の数は1億~1000億個ほど、ビフィズス菌にいたっては1兆~10兆個ほど存在するといわれており、大腸内ではビフィズス菌が圧倒的に優勢です。

しかし、大腸に生息するビフィズス菌の数は赤ちゃん期の95%以上をピークに、成人では10〜20%、老年期では1%未満まで減ってしまいます。年齢を重ねるごとにどんどん減っていってしまうため、健康を維持するためにも毎日の食生活で補うことが大切です。

ビフィズス菌の数を増やすには、ストレスのない生活を心がけることも大切です。ストレスの多い生活を続けていると、ビフィズス菌はどんどん減ってしまいます。偏った食生活を正すとともに、ストレスを溜め込まないように日頃から注意しましょう。

有用性

ビフィズス菌は大腸、乳酸菌は小腸でそれぞれ身体環境をサポートする役目を担っています。特に美容のコンディションは、善玉菌の影響とも関連しています。腸内の善玉菌を補うべく、ビフィズス菌と乳酸菌を含む食品を積極的に摂取しましょう。

2つの菌は、どちらも有用な乳酸を作り出すため、ほかにも以下のような共通の有用性があります。

  • ● 体を支える有用性
  • ● スッキリとした毎日をサポートする
  • ● 食習慣を助ける有用性
  • ● 美容に対する有用性
  • ● 健康的な体を保つ有用性

ビフィズス菌は乳酸菌と違って乳酸のほかに酢酸も作り出すため、上記の有用性以外にも様々な有用性が期待できます。

乳酸菌やビフィズス菌が含まれる食品(サプリ含む)

乳酸菌 ビフィズス菌
● ヨーグルト
● チーズ
● 漬けもの
● 味噌
● 醤油
● サプリメント

● ヨーグルト
● 乳酸菌飲料
● サプリメント

乳酸菌はさまざまな食品製造に利用されているため、食品の選択肢は幅広いです。毎日の食事に取り入れて、毎日の健康を維持しましょう。

乳酸菌とビフィズス菌を手軽に摂取できる食品はヨーグルトです。ただし、すべてのヨーグルトにビフィズス菌が入っているわけではありません。一般的なヨーグルトはサーモフィラス菌とブルガリア菌で発酵しますが、ビフィズス菌入りヨーグルトを製造するには、ビフィズス菌も加えて発酵させる必要があります。ヨーグルトのパッケージやメーカーのサイトなどで、ビフィズス菌が含まれているかどうかを確認しておきましょう。

一方で、ビフィズス菌が含まれている食品はあまり多くありません。ビフィズス菌が含まれている食品であっても大腸まで生きて届くことは難しいため、サプリメントで摂取するのもよいでしょう。

乳酸菌やビフィズス菌の効果的な摂り方

乳酸菌やビフィズス菌は、基本的にいつ食べても問題ありません。しかし、摂取するタイミングや食べ合わせなどを工夫することで、さらに健康に対する有用性をアップできます。

毎日継続する

乳酸菌やビフィズス菌は、毎日継続的に摂取することが重要です。一回摂取したからといって、永久に腸内にすみ続けるものではありません。そのため、毎日さまざまな食べ物から摂取したり、乳酸菌のエサとなる成分を含む食べ物を食べたりする必要があるのです。特にビフィズス菌は毎日体外に排出されてしまうので、食事で補ってあげましょう。

摂取してから健康に対する有用性を実感するまでに時間がかかる場合もあります。最低でも2週間は続けて食べてみましょう。ただし、一度に大量に摂取する必要はありません。食べる量よりも毎日継続することを重視してください。

毎日継続するには、手軽に摂取できる食品を選ぶことも大切です。ヨーグルトを毎日食べ続けることが難しい場合は、サプリメントで補いましょう。サプリメントは基本的にいつ飲んでも大丈夫ですが、どんなものでも継続しないと有用性があらわれません。自分の身体に適した食品をとりいれ、健康的な食生活を習慣化しましょう。

食後に食べる

基本的に乳酸菌とビフィズス菌は、朝、昼、晩のいつ食べても問題ありません。しかし、その有用性を最大限に得たいのならば、食べるタイミングを工夫してみましょう。

乳酸菌とビフィズス菌は胃酸や胆汁に弱いため、胃酸が濃い食前よりも、胃酸が薄まる食後にとるほうがその有用性を十分に得られます。ヨーグルトを朝一番に食べるよりも、胃酸が薄まっている食後のデザートとして食べるのがベストです。

オリゴ糖を含む食品と一緒に食べる

乳酸菌やビフィズス菌だけを食べるよりも、それらのエサとなるオリゴ糖や食物繊維と一緒に食べるほうが効果的です。

乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り出します。糖の多くは腸に届く前に分解されてしまいますが、オリゴ糖は分解されずに腸まで届くため、腸内の乳酸菌を助けるのに効果的なのです。

オリゴ糖は以下のような食べ物に多く含まれています。

  • ● 大豆
  • ● たまねぎ
  • ● ごぼう
  • ● ねぎ
  • ● にんにく
  • ● アスパラガス
  • ● バナナ
  • ● ハチミツ
  • ● きなこ

ヨーグルトにおからやバナナを混ぜるなど、好みの食べ合わせを見つけてみましょう。ハチミツやきなこを加えると、ヨーグルトの酸味が抑えられて甘みが増します。野菜たっぷりの食事をとった後に、ヨーグルトをデザートとして食べるのもおすすめです。

野菜や果物にはオリゴ糖が含まれているものが多いのですが、オリゴ糖を多く含む市販の製品も上手に摂ることで効率良くビフィズス菌を増やせます。

食物繊維を含む食品と一緒に食べる

食物繊維も、腸内に存在する乳酸菌などの善玉菌を助けてくれます。食物繊維にも、乳酸菌と似た作用があるため、一緒に食べることで身体環境をサポートしやすくなります。

食物繊維が多く含まれるのは、以下のような食べ物です。

  • ● そば
  • ● ライ麦パン
  • ● さつまいも
  • ● 切り干し大根
  • ● かぼちゃ
  • ● ごぼう
  • ● たけのこ
  • ● ブロッコリー
  • ● 納豆
  • ● あずき
  • ● おから
  • ● しいたけ
  • ● ひじき

肉類や魚介類には、食物繊維がほとんど含まれていません。穀類や野菜、豆類や果物、海藻類などの植物性食品に多く含まれます。

肉食中心の偏った食生活を続けていると、悪玉菌の栄養源であるたんぱく質や脂質が増えてしまい、腸内環境は悪玉菌が優勢になってしまいます。腸内で善玉菌を増やすには、善玉菌とともに食物繊維を積極的に摂ることが大切です。

キノコ類、野菜類、豆類などの食品は、1食で約2〜3gの食物繊維を摂取できます。毎日食べている白ごはんを玄米や麦ごはんに置き換えれば、食物繊維の摂取量を無理なく増やせるでしょう。

現代の日本において、食物繊維は不足しがちな栄養素の一つです。乳酸菌やビフィズス菌とともに、毎日の食事で積極的に摂取しましょう。

和食は食物繊維などの栄養素を補える理想的な食事です。味噌やしょう油などの調味料をはじめ、納豆や日本酒などの発酵食品が多いため、日々の食事に和食を取り入れることをおすすめします。

適量を摂取する

乳酸菌やビフィズス菌は、摂取する量に注意が必要です。摂取量が多ければ多いほど有用性が増すというわけではありません。 摂りすぎてもあまり心配はいりませんが、腹痛や下痢などが起こる場合があります。

また過剰に摂取してしまうと、食べ過ぎや栄養バランスの乱れにつながります。 ヨーグルトやチーズを食べ過ぎると脂肪の摂りすぎ、漬けものは塩分の摂りすぎになるので注意が必要です。

特定保健用食品や機能性表示食品、メーカーのサイトには摂取目安量が記載されているので、事前に確認しておきましょう。人によって相性の良い乳酸菌やビフィズス菌は違うので、自分の身体に合いそうなものを適量継続して摂取するのがおすすめです。

乳酸菌とビフィズス菌の摂取を習慣化しよう

乳酸菌とビフィズス菌は、善玉菌の代表格ともいえる存在です。同じ菌に思えるかもしれませんが、生息場所や生息数、含まれる食品などがそれぞれ異なります。しかし、どちらも身体に良い影響をもたらす菌であることに違いはありません。身体の健康を維持するためにも、2つの菌を積極的に摂取しましょう。

どちらの菌も腸内に長く留まることはできないので、毎日食品から補給し続け、習慣化することが大切です。基本的にどのタイミングで摂取しても問題ありませんが、健康に対する有用性を高めたいのならば食後に摂取することをおすすめします。2つの菌は胃酸に弱いため、胃酸の影響が少ない食後に摂取するほうが有用性が得られやすいことを覚えておいてください。

食品で摂取することが難しい場合は、サプリメントで補給しましょう。目的やライフスタイルに適したタイミングで摂取することを習慣化すると、身体環境をサポートし、健康に対する有用性を実感しやすくなります。

乳酸菌とビフィズス菌を摂取したからといって、すぐに有用性を得られるものではありません。だからといって諦めず、気長に続けることが大切です。たくさん摂取すると栄養バランスが崩れやすいので、適量を目安にバランスの良い食事を心がけましょう。

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