食物繊維の働きと聞くと、スッキリをサポートしてくれるイメージを思い浮かべる方も多いでしょう。身体に良い栄養素として積極的に摂ることが推奨されている食物繊維ですが、どういった特徴があるのでしょう?この記事では、食物繊維の働きや、「第6の栄養素」といわれる理由について解説していきます。
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。
食物繊維は「第6の栄養素」
そもそも食物繊維ってなに?
食物繊維は食べ物の中に含まれ、人の消化酵素で消化することのできない物質の総称です。一口に食物繊維といってもさまざまな種類があり、大きく分けると水に溶ける性質の「水溶性食物繊維」と、水に溶けない性質の「不溶性食物繊維」に分別することができます。
「繊維」という言葉のイメージから、糸のような繊維状の物質をイメージする人も多いかもしれませんが、食物繊維はサラサラしたものからネバネバしたもの、ザラザラしたものなど、その形状もさまざま。身体の中で有用な働きをする栄養素として注目されています。
「第6の栄養素」といわれる理由
人間が生きるために必要な栄養素には、タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルの5つの栄養素があげられます。これらの栄養素は身体をつくる・エネルギーをつくる・身体の調子を整える働きがあり、人間の身体になくてはならない栄養素として「5大栄養素」といわれています。
5大栄養素に含まれない食物繊維は、その働きが解明されるまでは、健康な身体を作るのに役立たない栄養素と考えられていました。
しかし、研究が進んだ現在では、美容や健康の観点から、食物繊維には多くの働きがあることが明らかとなっています。
こういった背景から、食物繊維の存在意義が見直されることになり、健康を支える重要な栄養素として「第6の栄養素」と呼ばれるようになりました。
近年注目の食物繊維「アルギン酸」が食事をサポート
アルギン酸とは
アルギン酸は、水溶性食物繊維のひとつ。昆布やワカメなどの海藻類に多く含まれる食物繊維で、ヌルヌルとしたヌメりや粘りがあるのが特徴です。アルギン酸には、「アルギン酸ナトリウム」「アルギン酸カリウム」などの種類がありますが、「アルギン酸カルシウム」は唯一アルギン酸の中で、水に溶けない不溶性食物繊維に該当します。
アルギン酸を加工食品に用いりやすいように低分子化した、低分子化アルギン酸ナトリウムは、身体の調子を整え、食習慣のサポートとして活用されています。
アルギン酸の働き
アルギン酸が注目される理由のひとつが、その粘性です。ネバネバしたアルギン酸は、腸内の不要物を吸着します。
また、海藻のヌメり成分であるアルギン酸は、消化に時間がかかるため、体に負担をかけません。なおかつ低カロリーなので、ダイエット時の栄養補給にも向いています。アルギン酸の特徴でもある粘性が、食物繊維の働きを最大限に活かしてくれるでしょう。
野菜不足・エネルギー過多に陥りやすい、現代の日本人の食生活。アルギン酸などの食物繊維は、偏った食事をサポートしてくれる心強い栄養素といえるでしょう。みなさんもぜひ、これを機に、第6の栄養素「食物繊維」意識的に取り入れてみませんか?