じつはお魚の恵みと冴えを感じる日々について、とても興味深い報告があるのです。一緒に学んでいきましょう。
魚を食べると健康に良い、と分かったのはなぜ?
「食べ物として魚は優れもの。」
私たち日本人にとって常識のように感じることですが、かつて欧米など世界の多くでは魚の消費量が少なく、魚は「あまり食べなじみのないモノ」でした。
しかし、魚の良さが注目されることになったキッカケがあります。それは北極圏に住むエスキモーたち。
エスキモーに健康な人が多いことが知られたのです。エスキモーの最大民族、イヌイットは1年の多くを氷で閉じこめられる環境に暮らし、魚やアザラシを主食にします。デンマーク本国で暮らす人々よりも、イヌイットの食材はバラエティが少ないにもかかわらず、心疾患などの死亡率が少ないのです。魚にはなにか良い効能があるのではないか…と研究が始まり、魚の油に多く含まれるDHAとEPAの存在が脚光を浴びることになったのです。
DHAって?じつは私たちの体内にもあるってホント?
DHAとEPAは不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)の一つで必ず魚にふくまれています。
このうちDHAは、じつは私たち人間の体の中にもあるのです。脳や目の網膜、神経細胞にあり、それらの細胞同士の情報伝達を手助けします。
電気を運ぶ電線の場合、太くてしっかりしている方が電気の流れが円滑ですね。それと同じで、DHAがたくさんある方が細胞同士の働きがスムーズです。でも、加齢とともに、体内のDHA量は減っていってしまいます。
お魚パワーは何の鍵?
脳を鍛えるために、毎日の生活の中へ取りいれると良い3つを、独立行政法人東京都健康長寿医療センターが『認知症に強い脳をつくろう』で提言しています。
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)
- 頭を使う生活(脳への血行促進)
- 野菜、果物、魚を多く食べる(多様な栄養)
身体を動かしたり、脳を使ったりすることは、たしかに脳のアンチエイジングに良さそうですね!さまざまな食材から幅広い栄養素を摂取することも大切そう。でも、お魚の存在は必須なのでしょうか。
筑波大学の研究チームが5年間かけておこなった2千人規模の調査があります。生活習慣の指導を受け、生活を整えたグループと、指導を希望しなかったグループを比較しました。この生活指導は、
- 魚油を摂取する
- 定期的な運動
- 昼寝をする
5年たってから両者を比べると、生活指導を受けたグループでは認知症の発生が少なく、記憶力のテストでは約16%成績が向上したのです。お魚パワーは、やっぱり大切なキーポイントなんですね。
誰にとってもちょっと少しずつ、でも確実に時が流れるから、気になる「アンチエイジング」というテーマ。脳は身体の中でもっとも大切な場所の一つだから、脳のアンチエイジングも生活に取り入れてみましょう。
【参考文献】
独立行政法人東京都健康長寿医療センター HP